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第12回 シャンパンってどんなお酒?

「ワインについて詳しくなりたい」と思っても、ワインの世界は複雑で難しそうというイメージがありませんか? そこで、ワインにまつわる様々なことをシニアソムリエが優しいアプローチでお教えします。読むだけでワインが美味しくなるようなコラムを、どうぞ召し上がれ。

シャンパンはどこで作られているのか

今回のコラムは、日本で「シャンパン」の愛称で親しまれるシャンパーニュについてのお話です。すでに第5回の産地特集でも軽く触れておりますが、「日本人はシャンパンが大好き」ということで、もう少しだけ詳しくお話してみたいと思います。
日本は「1人あたりの年間ワイン消費量」で50位にも入らない国ですが、シャンパーニュの輸入量は世界で第3位と、世界屈指のシャンパーニュ輸入国です。
日本では「お祝いと言ったらシャンパン」が根付いており、詳しいことは分からなくても、この「シャンパン」という単語を知らない人はほとんどいないのではないでしょうか。
では、シャンパーニュはどこで作られているのでしょうか。その産地はフランス、パリの東、ブドウ栽培産地の北限であるシャンパーニュ地方です。つまり、私たちが「シャンパン」と呼ぶシャンパーニュは、フランスのシャンパーニュ地方で作られた発泡ワインのことを言います。この地方は冷涼な地域であるために昔からブドウの栽培には苦労してきましたが、そのハンデに負けない生産者達の努力が実り、今やシャンパーニュを超えるスパークリングワインは存在しないというほどの名声を得ました。

発泡ワイン全てがシャンパンではない?!

前述の通り、「シャンパーニュ」は地名であり、ワインの名前でもあります。ヨーロッパでは、原産地統制呼称制度で地場産品の名称が規定されており、他の土地で「シャンパーニュ」という名前のワインが作れないように世界レベルで名称が保証されています。そのため、フランスのシャンパーニュ地方で作った発泡ワインのみが「シャンパーニュ」と名乗ることができるのです。
日本では「シャンパン」と呼ばれますが、これは英語読みに由来しています。Champagne(シャンパーニュ)を英語読みすると「シャンペィン」となり、それが日本でシャンペン⇒シャンパンとなりました。スパークリングワインをすべてシャンパンと呼ぶ風潮が日本にはありますが、シャンパーニュはあくまでもフランス・シャンパーニュ地方のワインにしか使わない名称なのです。

シャンパーニュの製法

シャンパーニュは高価なワインです。どんなに安くても3,000円前後から、高いものは10万円を超えます。スパークリングワインは安ければ1,000円前後で手に入りますが、シャンパーニュが高いのには、その細かくて手間のかかる製法に理由があります。シャンパーニュの製造工程で、その品質を支えるポイントとなるのが下記の工程です。

  • 調合
  • 瓶内二次発酵
  • 長期間の瓶内熟成
  • 澱(オリ)引きと甘み調整
    (リキュールを加える工程)

シャンパーニュの製造は、まず普通の白ワインを作るところからスタートします。そこからさらにこれだけの工程が待っているのです。それぞれどんなことをしているのか、簡単に見ていきましょう。

調合
この工程は、シャンパーニュの味を決める大事なポイントであるワインのブレンド作業のことを言います。年ごとや区画、品種ごとにワインの原酒をストックしておき、その年のワインにストックしてある数種類のワインを加える形で調合し、理想の味わいを作り出します。このストックワインが、シャンパーニュにコクと深みをもたらすのです。この方法は、ブドウ栽培が難しい土地で、ワインの出来が良くない年も少なくなかったシャンパーニュ地方ならではのアイデアでした。
瓶内二次発酵
続いて、調合したワインをボトルに詰めて、もう一度発酵する作業が「瓶内二次発酵」です。ワインと一緒に糖と酵母を詰めて密閉します。酵母によってアルコール発酵が行われると糖がアルコールに変わり、その際に生まれる炭酸ガスがワインに溶け込むことで、シャンパーニュは発泡ワインになります。
長期間の瓶内熟成
シャンパーニュには瓶内熟成を行う期間が、最低15カ月と定められています。ミレジムと呼ばれるヴィンテージ(年号)つきのものは3年以上です。高い品質を目指す生産者はそれ以上の熟成期間をとることもあります。シャンパーニュにとってこの長い熟成期間が、発酵ででた澱(オリ)から旨みを吸収する時間となり、炭酸ガスがきめ細かく浸透していく時間ともなります。こうした熟成による変化で味に深みが増していきます。
澱引きと甘み調整
リリースが近くなると、動瓶という作業が始まります。瓶を逆さまにして、1カ月以上毎日少しずつ回転させ、澱を瓶口に集める作業です。最後にその澱を凍らせて取り除き、代わりにブドウ由来のリキュールを加えて味の最終調整です。この作業には、澱引きにより少なくなった分を足すことと、酵母がすっかり分解してしまった糖分(甘み)を補う役割があります。

その後、コルクにより栓をうち、炭酸ガスの圧によってコルクが飛び出さないよう針金で締めてから、ようやく私たちの元へ出荷されます。

シャンパンと同じ製法で作った他の国のワイン

このように、大変手間と時間のかかる方法でシャンパーニュは作られており、その手間が、シャンパーニュに複雑で深みのある味わいをもたらしています。しかし、同じように手間をかけて作られているスパークリングワインは、シャンパーニュ以外にもあります。上記の瓶内二次発酵の方法を用いて、シャンパーニュに追いつけ追い越せと、色々な産地が素晴らしいスパークリングワインを作り、急成長しているのです。

代表的な他の国のワイン

  • イタリアのフランチャコルタ
  • スペインのカヴァ
  • イギリスのイングリッシュスパークリングワイン
  • 南アフリカのキャップクラシック

など

それぞれブドウ品種等に違いはありますが、シャンパーニュと同じ製法を用いて高い評価を得ている産地です。中にはシャンパーニュより安く手に入るワインもありますので、是非試してみてください。
そんなライバル産地が急成長するなかでも、シャンパーニュはやはり不動の人気を誇ります。厳しい栽培環境の中で、たゆまぬ努力を続けた伝統産地の底力を感じます。

次回は、シャンパーニュにはどのようなバリエーションがあるのか、また最近のシャンパーニュの動向についてもお話したいと思います。

監修:牧野 重希(まきの しげき)
吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。
・2013年 ソムリエ取得
・2017年 シニアソムリエ取得

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