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第9回 ワインの作法 〜味わい方編〜

「ワインについて詳しくなりたい」と思っても、ワインの世界は複雑で難しそうというイメージがありませんか? そこで、ワインにまつわる様々なことをシニアソムリエが優しいアプローチでお教えします。読むだけでワインが美味しくなるようなコラムを、どうぞ召し上がれ。

グラスの扱い方と味わいの関係

「ワインの作法」も第3回目を迎えました。今回は、実際にワインを飲む際のスマートな作法についてご紹介しますが、その作法が味わいにも関係してくることがあります。例えば、グラスの持ち方です。ワイングラスの形状は、ワインを注ぐボウルの部分とその下にステムがあります。ステムは、手の温度がワインに伝わらないようにするためにあります。ボウル部分を持つとワインの温度が変わり、味わいや香りが変化してしまうので、ワイングラスはステムを持つのがマナーというわけです。

ただ、ボウルが大きなグラスの脚を持つと不安定になりやすいので、その際はボウルとステムの境目辺りを持つと安定して持てます。ステムを持つというマナーも日本では一般的ですが、海外ではステムとボウルの両方に手が掛かるように持つのが一般的となります。国によって違いがあるのも興味深いですね。

それから乾杯のときに、グラスとグラスを合わせないというのも1つのマナーです。フォーマルな場であればあるほど、グラス同士を合わせることはしません。理由は様々ありますが、高級なワイングラスは薄く、繊細なつくりのものが多いので、割れてしまったり、傷が付いてしまうためと言われています。軽くグラスを持ち上げる程度に留めるのが、スマートな乾杯ではないでしょうか。

ただ、注いでもらうときはグラスを持ち上げないようにしましょう。手酌はもちろん、お客様同士で注ぎ合うこともフォーマルな場ではふさわしくありません。ソムリエやお店の方にお任せするのが良いでしょう。

グラスをクルクル回すのは、ほどほどに

グラスをクルクルと回すのも、やりすぎてしまってはマナー違反。というより、ワインの味を損なうことになってしまいます。グラスを回すことを「スワリング」といいますが、なぜスワリングするのかというと、ワインに空気を含ませて、ワインの中に隠れていた香りを引き出すためです。ただし、ワインの香りには限りがあります。つまり、回し過ぎることで消えてしまう香りもあるのです。

それに回し続けていると、ワインがどんどん酸化してしまいワインそのものの状態が変わってしまいます。回せば回すほど香りや味わいが良くなるものではないんですね。回さずに置いているときに、新しい香りを発見することもあります。ワインを飲むときは時折スワリングすることで、回したときと置いているとき、両方の香りを楽しむ意識を持つと良いのではないでしょうか。また、スパークリングワインは回してしまうとせっかくの泡立ちが飛んで台無しになってしまうため、スワリングはおすすめしません。

グラスを回すのには、香りを楽しむことともう1つ、味を柔らかくする効果もあります。ワインが空気に触れることで酸化が進み、ちょっとした熟成のような効果が得られ、酸味や渋みが取れて硬い印象のワインが柔らかくなるのです。ただし、それも限度がありますので、好みに合わせて調整するのが良いでしょう。

また、回すときに注意したいのが回す方向です。もし勢い余ってワインがこぼれてしまっても周囲の人にかけてしまわないように、自分に向けて回すのがマナーです。

料理とワインを「合わせる」タイミングとは?

ワインと料理を楽しむのであれば、食べ物がたくさん入っているときにはワインを口に含まないようにするといいですね。よく料理とワインを「合わせる」と言いますが、基本的には料理の余韻が口の中に残っているうちにワインを含みます。そうすることで、料理単体で食べた時よりも一層美味しく感じられます。

このようにワインと料理が絶妙に調和した状態のことを「マリアージュ(=結婚)」といいます。以前「ワインの作法~スマートなオーダー編~」でご紹介した「ペアリング」を楽しむことで、このマリアージュが生まれます。「合わせる」とは、口の中で、食材とワインを混ぜ合わせることではないんですね。

ただし、これだけはお伝えしたいのですが、最終的にはお酒は楽しんで飲むものだということです。あまり堅苦しいことは抜きにして、家族や親しい友人たちとの食事とともに楽しんでいただくのが、一番美味しいワインの飲み方ではないかと思います。

監修:牧野 重希(まきの しげき)
吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。
・2013年 ソムリエ取得
・2017年 シニアソムリエ取得

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