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第7回 ワインの作法 〜スマートなオーダー編〜

「ワインについて詳しくなりたい」と思っても、ワインの世界は複雑で難しそうというイメージがありませんか? そこで、ワインにまつわる様々なことをシニアソムリエが優しいアプローチでお教えします。読むだけでワインが美味しくなるようなコラムを、どうぞ召し上がれ。

ボトルにするか、グラスにするか……。それを悩むのも楽しい

「ワインの作法」と聞くと、飲み方のこと? と思ってしまいがちですが、ワインの頼み方も作法の一つです。ただし、作法といっても、これは良くて、あれはダメといった堅苦しいものではありません。あくまで、ワインをより美味しく、そのひと時をさらに楽しくしてくれるものと思ってください。

ワインの頼み方について、よく見る解説は「ボトルでの頼み方」に終始していますが、最近はグラスワインが充実しているレストランも多くあります。そこで、今回は「ボトル」「グラス」、それぞれにおけるスマートなオーダーの仕方をご紹介します。

ボトルで頼みたい時は?

フランス料理といえば、前菜、メイン、デザートというような3皿構成がオーソドックスなスタイルでしたが、最近ではフランス料理もイタリア料理も、少なめの盛り付けで皿数が多い、「小ポーション多皿構成」のレストランが多くなってきました。このスタイルが主流になってくると、全ての料理に合うボトルのワインを選ぶのは、なかなか難しいと思います。ただ、レストランでは、自店の料理のスタイルを考慮した上で、どんな価格帯、味わい、産地のワインを用意すれば、料理に寄り添いつつ、お客様のお好みにも応えられるだろうかと考えながらワインリストを構成しているものです。

ではそのワインリストの中から、どんなワインをオーダーすれば良いのでしょうか。
身も蓋もない言い方かもしれませんが、ソムリエに任せるのも、簡単で安心感のある頼み方の一つです。ただし、任せるにしてもポイントがいくつかあります。

まず、一番のポイントは予算です。先に予算を提示することに抵抗のある方もいますが、ワインの予算を伝えることはまったく恥ずかしいことではありません。むしろソムリエはとても助かるのです。というのも、お客様からただ「良いワインを飲ませてほしい」とか「おすすめのワインで」と言われてしまうと、どの価格帯のワインをおすすめすれば良いのか悩んでしまうからです。ワインは上を見ればキリがありませんし、4,000円のおすすめもあれば、それこそ3万円のおすすめもあるわけです。ですから、ワインリストを眺めて、その店のボトルがどれくらいの価格からスタートし、ハイレンジはどれくらいか、どの価格帯のワインが一番充実しているか等を参考に、ご自身の予算と照らし合わせて提示する金額を決めるとよいでしょう。

それでも金額を言いたくない場合のために、金額提示のスマートな方法があります。ワインリストの中で、自分の予算と合いそうな金額を指差して、「このくらいでおすすめのワインをいただけますか?」と伝えるのです。具体的な数字を言う必要もなく、とてもスマートです。ゲストを招いての席等でも問題ありません。

上手な「好みの味」の伝え方

予算が決まったあとは、ワインの好みを伝えましょう。ソムリエにとって分かりやすいのは、普段飲んでいる好きなワインの情報です。「あまり甘くないのが好き」や「辛口のワインください」といったオーダーをいただくことも多いのですが、実は人の味覚を推し量るのは結構難しいのです。甘い、辛いの感覚は人によって様々ですからね。特に初対面の方であればなおさらです。だからこそ、普段飲んでいるワインや、ブドウ品種、さらには産地の好みを伝えるのがいいと思います。たくさん伝える必要はありません。たった一本でも基準となるワインがあれば、「今日は、いつも飲んでいるワインよりしっかりしたワインが飲みたい」といったオーダーもできます。逆に、普段ほとんどワインを飲まない方の場合は、正直に「ほとんど飲みません」と言ってしまいましょう。ソムリエもそんなお客様を考慮して、親しみやすい味、王道の味のワインをチョイスしてくれるでしょう。

ボトルとグラスを上手に組み合わせる

最初から最後までボトルで頼まなくても、もちろん大丈夫です。料理の構成にもよりますが、魚料理まで白のボトルで、最後の肉料理だけグラスの赤ワインでもいいですし、その逆で、最初はグラスの白ワインで、その後にボトルの赤でもいいわけです。その際も予算を提示しつつ、「まずはこの料理に合う白ワインを1杯いただいて、その後にボトルの赤も注文したいので相談させてください」と言ってみてください。ソムリエとしても組み立てやすい上に、「このお客様はあなどれないぞ」と思われて、より気合いを入れてサービスしてくれるかもしれません。

ペアリングを存分に楽しむ

最近の主流となっている「小ポーション多皿構成」の店では、料理とワインのベストマッチを提案するペアリングを推しているお店もたくさんあります。かなり細かく、料理ごとにワインを用意しているお店もあるので、お店が提案するペアリングをそのまま楽しむというのもよいでしょう。普段自分では頼んだことのないワインが出てきたりして、新たな発見が得られます。

メニューでそこまで具体的にペアリングを推していなくても、「この料理に合うグラスワインをお願いします」と伝えるのもありです。ただ、お酒の強さは人それぞれですから、一皿に一杯ずつも飲めない方もいます。その際には、まず自分が何杯ほど飲むのかを伝えるのも良いと思います。何杯飲むかを決めておけば、その中で、最初の2皿はこのワイン、その次はこれ、というようにコースに合わせてソムリエが組み立ててくれますので、料理とのペアリングを楽しむことができます。もっとシンプルに「この料理と次の料理でも合わせられるワインをお願いします」というオーダーも良いですね。いずれにしてもソムリエの腕が試されるので、我々ソムリエにとっては楽しくも緊張の瞬間です。

監修:牧野 重希(まきの しげき)
吉祥寺の老舗イタリアン、リストランテ イマイのシェフソムリエ。2007年、料理人を志しリストランテ イマイに入社。2010年よりセコンドシェフとして従事。料理を学ぶなかでワインの魅力に惹かれ、お客様へのより良いサービスとワインの提供を目指し、接客に転向。
・2013年 ソムリエ取得
・2017年 シニアソムリエ取得

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